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一度きりの「いま」。
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偽りの母子の先が見えない逃亡生活。
逃げて、逃げて、逃げのびたら、
二人は本当の母子になれるのだろうか。

東京、名古屋、そして小豆島。
土地が引き寄せる縁というものが確かに、ある。
どこも縁深い場所ばかり。

私もこの場所でひとつ物語をつくれるだろうか。
“岡山編”はまだ始まったばかり。
(2011.02.20)


 ピクリとおなかが動き、私は閉じていた目をはっと開く。ピクピクッと、おなかの内側がけいれんするような感触がある。動いたんだ! 思わず私はそう叫んでいる。私は息をひそめるようにして自分のおなかを見つめる。
 ここではない場所に私を連れ出せるのは私だけ――かつて抱いた気持ちが唐突によみがえる。
 そうだ、どこかにいきたいと願うのだったら、だれも連れていってなんかくれやしない、私が自分の足で歩き出すしかないのだ。

 「(前略)だけどね、千草、おじいちゃんの先生がね、子どもが生まれるときは緑がさぞやきれいだろうって言ったの。そのとき、なんだろう、私の目の前が、ぱあっと明るくなって、景色が見えたんだ。海と、空と、雲と、光と、木と、花と、きれいなものぜんぶ入った、広くて大きい景色が見えた。今まで見たこともないような景色。それで私ね、思ったんだよ。私にはこれをおなかにいるだれかに見せる義務があるって。海や木や光や、きれいなものをたくさん。私が見たことのあるものも、ないものも、きれいなものはぜんぶ」

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スパイスの効いた笑いとあたたかさを求めて、
奥田英朗さんの短編集をチョイス。
第20回柴田錬三郎賞受賞作。

ここに出てくる家族には、
大きさの差こそあれ「隙間」がある。
でもそこから吹く風は冷たくて痛いものではなく、
本当はあたたかくてやさしい風。

その隙間風を愛することができるかどうかが、
良い家を保つ秘訣のような気さえする。
隙間は完璧に埋めればよいというものではない。

「ここが青山」「家においでよ」「夫とカーテン」が
特にお気に入りです。(2011.02.11)


 この子たちを産んでよかった。考えてみれば、ずっと家族からしあわせをもらっていた。
 三人で鍋を囲んだ。いつもは黙々と食べるだけの由佳と祐平が、やけに学校の話を聞かせてくれた。やさしくしてくれているのが、手に取るようにわかった。
 紀子は何度も花に目をやり、その都度「ありがとうね」と言った。
 このしあわせな気持ちで、あと十年は平気だと思った。
 自分には家族がついている――。


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2年半ぶりに読み返しました。
最初に読んだ時が24歳、いま27歳。
やっぱり引っかかってくる場所があの時とは変わってる。

まずは咲世子のいい女っぷりに泣けました。
すべてを包み込むやさしさがあって、
でも芯はとても硬くて、潔くて…本当は臆病で。

そして私と同じ名前の亜由美にはお説教。みっともない。
私がこんな女にだけはならないようにしようと心に誓っているのがあって、
それが「みっともない女」「うっとうしい女」「不味そうな女」。
若さや不幸な境遇が理由になるのでしょうか。不幸なのは自分だけ?
自分の見る力が足りないだけでしょう。

次にこの本を読み返す時にはきっと30代に突入しているはず。
その時には少しでも"真珠の女"に近づいていますように。
真珠の魅力が解る男の人の傍にいられますように。
そしてその二つがちゃんと実現できていたら、
40代になって人生二度目のタヒチで黒真珠を買ってもらおう☆(2011.01.30)


 卑下しているわけでも、自分に自信がないわけでもなかった。咲世子はそうやって二十年間を生きてきたし、自分の仕事が好きだったのである。この点については、多くの女性より自分は恵まれていると思っていた。もう子どもを産むことはできないだろう。結婚することもないかもしれない。だが、好きなことを仕事にして、男たちに媚びることもなく、多少なりとも贅沢のできる暮らしを独力で立てているのだ。あとはこのまま年を重ねていくだけだろうが、それもまた悪くない。自分としては、上出来ではないか。

「映画を撮ろうなんていう人がそんなことをいったら、いけないでしょう。わたしだって去年の終わりからずっと新しい表現方法を探しているよ。いくつになっても、自分を変えようと苦しんでいる人しか、表現の第一線では生き残れないと思うけど」

「違うよ。そういう人がいなければ、絵描きも生きてはいけない。絶対に必要な仕事なの。わたしはね、年を取って傷ついたとも、薄汚れたとも思わない。その傷はなんとか若さという嵐をのり切った勲章だと思う。胸を張ってもいいことなんじゃないかな。わたしたちはなんとか生き残って、すこしずつでも前進してる。たいしたものではないかもしれないけれど、なにかをつくりだしている。わたしが感じてるのは、卓治さんとは逆のことなんだ」

         人気ブログランキングへそろそろ"真珠の女"目指しませんか?



知らない女と心中してしまったお父さん。
残された私とお母さんは、
新しい人生を始めようと思い立った――下北沢で。

「再生」を描かせたらよしもとばななの右に出るものはいないかもしれない。
そしてそれは私の人生のテーマのひとつでもあるので、
いつかこんな言葉を紡げるようになれるかもしれないと思うと、
まだまだつらいことにもぶつかっていける気がする。
そんな勇気が湧いてくる。

読み終わったときに無性にお母さんに連絡したくなって、
思わず電話をかけてしまった。
「生活費振り込んだって電話かと思った~」という相変わらずの現金っぷりに、
ため息をつくと同時にほっとした。
お母さんありがとう、どうか楽しい人生を。

実家の最寄り駅と同じ井の頭線沿いなのに、
ほとんど行ったことがなかった下北沢。
今度東京に戻ったときに行ってみたいな。
この本を貸してくれた大好きな人と一緒に。
(2011.01.23)


フジ子さんの人生にこれまで降り注いだおそろしい分量の出来事のつみかさね…それがあって初めてその美しい言葉は映像の中で激しく意味を持ちはじめ、人々の心をゆさぶり、励まし、地に足をつかせることができる。
 私も、他のことで、そういうことをしたいと強く思った。自分以外の人に向かってこんなすばらしい魔法をかけたいと。

 私には親を失った悲しみしかわからない。そしてお母さんには親を失った私の気持ちはやっぱりわからない。お母さんのほんとうの気持ちはお母さんにしかわからない。
 その孤独を抱えながら、下北のお店めぐりをして会話を交わして、まるで新しい地図を不器用に作るように一歩一歩生きているお母さんをえらいと思った。変なやり方だが、理解できた。前向きすぎず、後ろ向き過ぎないその態度を見て、なんといい女だろうと思ったのだ。

 とてもおいしい羊の肉を頼んで、いっしょに出てくるのを待って、いっしょうけんめい焼いて、無心においしく食べる。
 その過程にたっぷりと含まれている幸せの雰囲気を、私の精神が食べている。楽しいという気持ちが久しぶりにわいてくるのを感じた。ありがとうと思った。新谷くん、私を見つけてくれてありがとう。あんなにも「だれも見ないで、そっとしておいて」という感じで暮らしていたのに。


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何度も本屋さんで見かけていたのに、
一度も手に取ることがなかったこの本。

テレビで柴田トヨさんご本人が朗読されているのを聴いて、
すぐに買いに行きました。
これがタイミングというものなのでしょう。


こんなにもたやすい言葉で、
こんなにも人をはっとさせることができるなんて。
まだまだ、言葉の善き力は計り知れません。

『私 Ⅰ』『返事』『先生に』『あなたに Ⅰ』『さびしくなったら』
『くじけないで』『貯金』『化粧』『朝はくる』『秘密』
がお気に入りです。


年を取ったらみんなしわくちゃ。
だからこそどのような生き方をしてきたかが、
外側ににじみ出てしまう。

私も良い年の重ね方をしていかなくては。
見えないと思って油断していても、
いつかは絶対外に出てくるものなのだから。



先生に

私をおばあちゃん と
呼ばないで
「今日は何曜日?」
「9+9は幾つ?」
そんな バカな質問も
しないでほしい
「柴田さん
西条八十の詩は好きですか?
小泉内閣を
どう思います?」
こんな質問なら
うれしいわ


貯金

私ね 人から
やさしさを貰ったら
心に貯金をしておくの

さびしくなった時は
それを引き出して
元気になる

あなたも 今から
積んでおきなさい
年金より
いいわよ


朝はくる

一人で生きていく
と 決めた時から
強い女性になったの
でも 大勢の人が
手をさしのべてくれた
素直に甘えることも
勇気だと わかったわ

(私は不幸せ……)
溜息をついている貴方
朝はかならず
やってくる
朝陽も
射してくる筈よ 


秘密

私ね 死にたいって
思ったことが
何度もあったの
でも 詩を作り始めて
多くの人に励まされ
今はもう
泣きごとは言わない

九十八歳でも
恋はするのよ
夢だってみるの
雲にだって乗りたいわ



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プロフィール
HN:
ayumi
性別:
女性
職業:
国際物流業⇒食品メーカー
趣味:
読書、野球、トラ、ぷよ
自己紹介:
社会人7年目。海外駐在員を目指し、2009年4月から半年間はタイで働いてました。

2010年12月に外資系食品メーカーへ転職。まずは岡山で働くことになりました。

将来の夢は、自分の言葉と「食」を通して、世界の1人でも多くの人に前向きで幸せなエネルギーを届けること!

いつまでも魂を輝かせておけるよう、好奇心と向上心と「いま」を大切にして生きています。
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