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一度きりの「いま」。
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旦那さんが一緒に暮らす時に持ってきていた一冊。
せっかくなので私たちのハネムーンにも持ってきちゃいました。
タヒチで読んだ3冊目です。

小さい頃から隣同士の家に住んでいたまなかと裕志。
二人は十八の時に結婚した。
今までと変わらずお互いの家を行き来する結婚生活を送る二人だったが、
裕志と二人暮らしだったおじいさんが亡くなってから、
そのバランスが傾き始める。

結婚をすると、二つの道が、限りなく一つの道に近づく。
一緒に歩きながら、道端に咲いてる花を見つけたり、犬とじゃれあったり、
疲れたら立ち止まって休憩し、お腹がすいたらおにぎりを食べて。

私たちの二回目のハネムーンはどこになるだろう。(2011.12.27)


 いやとかいいとかいうものでもなく、仕方ないというのでもなく、選択の余地のない人生、というほど悲観的なものでもなく、私は、その時、それでもなにかが広がったような気がした。空間が、ぐって広がって、広い空の下に出たような感じ……星があって、食べ物があって、ろうそくかなにかの美しい明かりがあって、空気がきれいで、そんなに捨てたものでないというような、開かれた感じがした。そういう感じがした時は、私は前へ進む。これも運命だったのだろう、と思い、やはり、裕志の家族になろうと決めた。

なにかが治っていく過程というのは、見ていて楽しい。季節が変わるのに似ている。季節は、決してよりよく変わったりしない。ただ成り行きみたいに、葉が落ちたり茂ったり、空が青くなったり高くなったりするだけだ。そういうのに似ている、この世の終わりかと思うくらいに気分が悪くて、その状態が少しずつ変わっていく時、別にいいことが起こっているわけではないのに、なにかの偉大な力を感じる。突然食べ物がおいしく感じられたり、ふと気づいたら寝苦しいのがなくなっていたりするのはよく考えてみると不思議なことだ。苦しみはやってきたのと同じ道のりで淡々と去っていく。


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詩だと思って買ってみたら、
ばななさんの息子、チビちゃんにまつわるエッセイでした。
タヒチで読んだ2冊目です。

さすがばななさんの息子。
チビちゃんの言葉はとても伸びやかで、
あるべき温度で、きらきらと輝いている。

「あなたに音楽を捧げる時間がやってきました」

「チビちゃんは、とってもここが懐かしいよ、懐かしすぎて、今の時間が楽しめないくらい」

「ママを触っていると、なんとなく、平和っていう感じがする」

「この世は、別の人の心がみられないから、こわいところなんだよね」

「だって、これいじょう愛されすぎると、頭の中がハートでいっぱいになって、おかしくなっちゃうから、いまくらいがちょうどいいんじゃないかな」

きっとどんな子供も持っている感覚なのだろうけど、
それを見つめ、育て、切り取り、このような作品に仕立てるばななさんは、
やはり作家として、母親として、素敵だなぁと思う。

私もいつか子供を授かることがあったら、
こんな子供の感覚に気づかされることが多いんだろうな。
私も負けないように、自分の感覚を磨き続けなくちゃ。(2011.12.27)


 このとき、これまでのいつよりも、家族を持ってよかったと思った。幻じゃなくてよかった。この人たちを知らなかったらわからなかった。今となってはもう失うことが考えられない。なんていうことがないときだからこそ、本気でわかった。自分が今幸せだということが。



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アルゼンチンで育った佐和子とミカエラの姉妹は、
少女の頃からボーイフレンドを<共有>していた。

二人は留学先の日本で達哉と出逢う。

一方は達哉に選ばれ、初めて姉妹の<共有>のルールを破り、結婚。
もう一方は新しい命を宿して、アルゼンチンへと帰国する。


タヒチで読んだ一冊目です。
海外に行くとやっぱり海外が舞台の作品を読みたくなる。
江國香織さんの作品は、海の上で読むのにふさわしい。
ゆらゆらと、日常と非日常のあいだで感覚が自由になる。

私は弟との二人姉弟だから、
「姉妹」の感覚って想像するしかないのだけど、
配合の似通ったオンナ同士って難しい気がする。
カリーナとミカエラの関係も、決して特殊ではないんじゃないかな。
(2011.12.26)


「そういうこと、昔はよくしていたのよ、私たち」
 何の言い訳にもならないにしても、ミカエラは、そうつけ加えずにいられなかった。
「十代のころ、私たちすごく悪かったの。男の人は全部共有しようって決めていたし」
 白ワインを一口啜る。そんなつもりはなかったのだが、自分の声になつかしがるような響きが含まれていることにミカエラは気づく。

「ミカエラも」
 カリーナが、急に言った。
「ミカエラも、あなたが自分の娘でさえなかったら、あんな反応はしなかったと思うわ」
 私が返事をせずにいると、
「その人が家をでてくれるといいわね」
 と続けて、私を驚かせた。
「欲しければ奪いなさい。ミカエラも、ほんとうはそう思っているはずよ」



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ひきこもりの休学中東大生、
南米へ逃亡していた元ヤクザ、
何をやってもダメな女性フリーライター。

“人生の落ちこぼれ”たちが集ったのは、
東京から遥か千キロ南の小笠原で開催される、
謎めいたセミナーだった。

さすが垣根さん、小笠原の歴史まで同時に学ばせていただいた。
私たちのちっぽけな人生と、
もっともっと大きな歴史や自然や運命のうねりと流れ。

きっと自分の意志で泳いでいける距離なんてほんのちょっとだけれど、
クロールで行くか、平泳ぎで行くか、はたまたバタフライで行くか。
どこに向かうか、誰と助け合うか、どんな景色を見たいのか。

それくらいは、自分で決めないとね。(2011.12.11)


今思うに、将来に希望が持てない人生であるなら、せめて日々を出来るだけ笑って楽しく暮らすことが、彼らの生きていく着地点だったのでしょう。つまり着地点とは、その距離を遠くに置けば人生の目標になり、近くに置けば、日々の心持ちになる……。そんなことを本日は感じた次第です。

 太郎はそれら前方の人だかりを漫然と眺めている。夕陽に、その笑顔を照らしだされている人々。
彼らの一人ひとりの人生――昔、誰かが言っていた。その人の人生は、その人にまつわるいろいろな人の人生の断片で成り立っている。だからこの瞬間、ぼくの人生は、たとえ彼らと直接触れ合わなくても、彼らの人生の断片で世界が成り立っている。

 無意味な心の規制さえはずせば、足の竦みなどなくなる。少なくとも今の日本、その気になれば何だって出来るし、どういう生き方だって自在だ。
 そしてそれを実際に行動に移すにしろ移さないにしろ、そういう外界の捉え方が、その心持ちが、本当の自由ということなのだろう。
 ただし、その自由と引き換えにするもの……つまりは覚悟だ。
 自分ですべてを引き受ける覚悟さえあれば、過去は関係ない。未来も恐れるほどのものではない。
 あるのは、今の自分がどういうふうに生きたいかという、ただそれだけのことだ――。


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とてもとてもわかりにくいとは思いますが、
この小説は今回の大震災をあらゆる場所で経験した人、
生きている人死んだ人、全てに向けて書いたものです。(あとがきより)

お腹に棒が刺さった状態から生還した小夜子は、
幽霊が見えるようになってしまった。
喪った恋人。元通りにならない頭と体。戻ってこない自分の魂。
それでも、小夜子は生き続ける。

今回の大震災は、本当に、あらゆる人に影響を与えた出来事だった。
きっと多くの生き残った人の感じた無力感、
でも、その難産の末に産まれ出た命、作品たちがある。
だから、私はこの人の本が読みたかった。

最高のことも最低のことも、天国も地獄もすべてがあるこの世。
その中でいくつの経験を通して、どれだけ魂を輝かせ、
心を豊かにし、「幸せ」を感じることができるだろうか。
そうして「いま」を生き続ければ、甘い来世にたどり着くはず。
(2011.11.27)


 そうだ、交換してるんだ、お互いに。
 私はこの世界にこんなに影響を与えている。そのことを知らなかった。世界は私が輝くと輝きをきっちり同じ分量で返してくれる。ときにはすばやく、ときにはゆっくりと、波みたいに、こだまみたいに。
 こんなちっぽけな私がどういう気持ちでいるか、そんなことが世界を確かに動かすことなのだ。
 目に見えない世界で確かにそれは起こっていることで、見る目を変えればいつでもその影響を見ることができるのだと、私ははっきりと知って戻ってきた。

「なにもないところから、火を起こして、それが燃えさかり、消えていくだろう。そして炭や灰になる。なににおきかえてもみんな同じ過程だ。その全部をなるべくねばれ。先を見たい気持ちでのめるな。ねばって一歩でも遅くためていくんだ。」

 両方あることをぐっとかみしめながら、身軽に旅をする……みっともなくあがきながら、鼻に水が入ってげえげえ吐いたりしながら、骨折したり寝込んだり呪いの言葉を吐いたりしながら、それでもバランスよくなにかを見ることができる瞬間が訪れることを目指して……その全部があるこの地上の大きさの中にしばし身を置けることを、あまりにも贅沢だと単純に思ったのだ。


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プロフィール
HN:
ayumi
性別:
女性
職業:
国際物流業⇒食品メーカー
趣味:
読書、野球、トラ、ぷよ
自己紹介:
社会人7年目。海外駐在員を目指し、2009年4月から半年間はタイで働いてました。

2010年12月に外資系食品メーカーへ転職。まずは岡山で働くことになりました。

将来の夢は、自分の言葉と「食」を通して、世界の1人でも多くの人に前向きで幸せなエネルギーを届けること!

いつまでも魂を輝かせておけるよう、好奇心と向上心と「いま」を大切にして生きています。
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