一度きりの「いま」。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 最近お気に入りの書評サイトで見つけて、すぐに買いに行きました。 主人公は、思い出の本をきっかけにインターネット上で出会った2人。 自分と似ていて違う言葉や考え方に次第に惹かれていく。 たとえ会ったことがなくても言葉にのせることで伝わる思いと、 会わないとわからない伝わらない思いや真実。 こんな時代だから出会うきっかけや思いを伝える方法は多種多様。 言葉の力の素晴らしさを感じると共に、 実際に目にすることで伝わってくるものも軽んじてはならないと思いました。 そして、他人のことを完璧に理解することは出来ないということも。 ただ、完璧でなくても、共有したりそこに近づこうと努力することは出来る。 作者名から男性だと思っていたので、あとがきを読んで驚きました。 でも、そういわれてみれば納得。「伸」は女性が描いた人物だな、と。 他の作品(『阪急電車』あたり)も読んでみようと思います。 「俺は九官鳥やオウムとちゃうで。好きって言葉は大事やろ。よう知らん人に意味なく言いたくないわ」 痛みにも悩みにも貴賎はない。周りにどれだけ陳腐に見えようと、それに苦しむ本人にはそれが世界で一番重大な悩みだ。救急車で病院に担ぎ込まれるような病人が近くにいても、自分が指を切ったことが一番痛くてつらい、それが人間だ。 PR 『切羽へ』で第139回直木賞を受賞した作者。 この作品も第138回の候補作のようですが、 受賞作から読まないところが私のひねくれたところです。 いろんな温度の愛と食。 愛することと食べることは似ているのだろう。 そして、必ずしも幸せと言い切れない愛の形が多い中で、 それでも全体に冷え切った感じがしないのは、 出てくる食の力によるものなのだろう。 「クリスマスのミートパイ」「ゆで卵のキーマカレー」「ベーコン」が好きです。 この作者の視点の醒め方が気に入りつつも、 あたたかめの作品を選んでしまうところが、 私のまだ子供で甘いところです。 鵜飼ほど魅力にあふれた男を、晴子は知らない。しかしやっぱり、鵜飼にもかすかな欠けがある。欠点などではない。針の先ほどの空白のようなもの。それが何なのかは謎だった。自分がこうまで鵜飼に焦がれるのはそのせいとも思えたし、あるいは焦がれるということは、相手の中にそのような空白を図らずも見つけてしまうということなのかもしれない、とも考えた。(『煮こごり』より) 厳格すぎる父に育てられた三兄妹。 父の死後、その浮気が発覚した。 驚き、とまどい、恨みに似た感情を抱きながらも、 3人は自分たちのルーツを探る旅に出る。 作者初の大人が主人公の物語とのことですが、 こんなテイスト、こんな言葉も使うんだと驚きました。 でも、もちろん悪くない。 題名のつけかたがとても好きです。 どんな痛みを抱えていても、人が前を見て歩く姿は美しい。 そんなことを思いました。 誰の娘であろうと、どんな血を引こうと、濡れようが濡れまいが、イカが好きでも嫌いでも、人は等しく孤独で、人生は泥沼だ。愛しても愛しても愛されなかったり、受けいれても受けいれても受けいれられなかったり。それが生きるということで、命ある限り、誰もそこから逃れることはできない――。 うつ病を患っていたという作者の、6年ぶり、待望の復帰作。 お気に入りは2作目の『ソリチュード』。 まだ見込みのあるダメ男(もしくはダメ女)の話が好きなのかもしれません。 表題作の『アカペラ』はちょっと痛々しい感じがしました。 2002年の作品ということで、 描かれた時期が影響しているのでしょうか。 「壊れてしまった関係を捨てて別の新しい関係を探すのではなく、 少しずつ修復しながら付き合っていく方法があることに気づいた」 というのは、テレビ番組のインタビューでの作者の言葉です。 すごく好きな作家だったので、次回作が楽しみです。 久しぶりに『恋愛中毒』あたりを読み返したくなってきた。 でも、いま読んだら、やばいかも。 「前から何となく思ってたんだけどさ。春一は優柔不断なんじゃなくて、融通がきかなすぎなんじゃねえの。まわりの女のお願い、全部叶えられるわけねえじゃん。それ義理堅いっていうより傲慢よ。何でもかんでも背負い込もうとするから、逃げたくなるほど重くなるんじゃないの?」(『ソリチュード』より) そのために、未来のために、今はちょっとくらい会えないのを我慢しなくちゃならない。ちゃんと勉強して、働いて、大人にならないといけない。 恋と声と家財道具一式を失った主人公。 唯一残ったぬか床を手にふるさとに戻った彼女は、 お客様一日一組限定のメニューのない食堂を始めた。 かたつむりの歩むスピードくらいで、 じんわりと優しさが広がっていく物語でした。 ところどころにある現実の冷徹さが、 逆に物語のあたたかさを引き立てています。 そして私も食の力を信ずる者のひとりです。 だから、作中で起こった小さな奇跡たちを受け入れられる。 豪華でなくていいから、食材そのものの力と、 つくる人のあたたかい心がこもった料理。 私も自分の大切な人につくっていきたいな。 あの日のことは、もうこれ以上思い出すと、私は壊れそうになってしまう。 もう、決して戻らないもの。 |
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プロフィール
HN:
ayumi
性別:
女性
職業:
国際物流業⇒食品メーカー
趣味:
読書、野球、トラ、ぷよ
自己紹介:
社会人7年目。海外駐在員を目指し、2009年4月から半年間はタイで働いてました。
2010年12月に外資系食品メーカーへ転職。まずは岡山で働くことになりました。 将来の夢は、自分の言葉と「食」を通して、世界の1人でも多くの人に前向きで幸せなエネルギーを届けること! いつまでも魂を輝かせておけるよう、好奇心と向上心と「いま」を大切にして生きています。
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