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一度きりの「いま」。
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海辺の部屋の窓辺に横になり、訪れた女たちの不思議な話を聞く男。
色とりどりの短編集です。

この作家の作品は高校生のときによく読んでいました。
久しぶりに読んだらやっぱり描写がうまくて、
すぐに不思議な世界へ惹き込まれました。

話が始まる前に海辺の部屋の描写があるんだけど、
季節が感じられてそれぞれがとてもすばらしいかった。

「わたしではない」「笑顔」「海の上のボサノヴァ」「梅の木」がお気に入りです。

女は、しばらく考えていた。やがて、
「その時、わたしが生きていたら、そして、非難されたら――あれが、わたしにとって《本当のこと》だった、というしかありませんね」
そして、微笑んだ。(『四角い世界』より)
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純粋なことが良いことだなんて誰が決めたんだろう。
白、というイメージも。
この作品の登場人物たちはそれぞれにとてつもなく純粋だけど、
それは赤だったり灰色だったりする。

読んでて痛くてときどき吐き気もしたけど、
一つの作品として評価できる。
こういうのを純文学って言うんだろうな。

「好きです」
 呟きは頼りなく私の口からこぼれ、テーブルにぶつかって、弧を描いてフローリングに落ちて、砕けた。その欠片を集めて、私は好きという気持ちを形にしてみた。それは、ハートの形なんかじゃなくて、群青色で、ただギザギザにささくれ立っていた。それをギュッと抱きしめると、ギザギザのとげは私の胸に刺さり、私は胸から血を流した。腹の傷も、ピリリと痛んだ。ああもう胸も腹もどこもかしこも痛すぎる。



才色兼備のキャリアウーマンで家事の出来ない女。
“三低”の売れないライターの男。
2人が出会い(付き合い)結婚し子供ができる。

描かれていたのはひとつのリアルな結婚生活。
自分の周りで結婚する人が増えたり、
同世代で話をしてても「結婚」という単語が当たり前のように出るようになったけど、
私にとってはまだまだ現実感のわかないケッコン。

自分の理想と現実的な幸せの間を縫って、いい結婚をしたいなぁと思います。
…できたら20代のうちに(笑)

「あなたに妙なこだわりがあるからよ。偉そうな顔をするからよ。パンツがどうしたって? 私も、私の母も、祖母も、夫や父や祖父のパンツを洗ってきたのよ。洗濯機もない時代から。つまりあんたたちは、そうして平然として、自分の脱ぎ散らかしたものを洗わせてきたんじゃないの。そこに恥じらいがあった? 感謝があった? たかが汚れ物だろうが」



女性もセックスも退屈だ、という大学生の主人公リョウは、
娼夫の仕事を始め、女性の中にひそむ欲望の不思議に魅せられていく。

この作者の、女性に対する視線はどこまでもやさしい。
年を重ねた女性をこんなに肯定的に描ける男の人っていないんじゃないかな。

ここに出てくる女の人たちの話し方は芝居がかってるけど、なんかいいなぁ。


 ぼくは娼夫になり、より自由になった。以前から人を外見や性別や年齢や仕事で判断する傾向は人よりすくなかったと思う。それがますます減って、その人の話をきちんときくまではすべての判断を保留するようになった。ある人が語るストーリーが世間の常識やよい趣味からはずれていくとき、身をひいて心を離してしまうのではなく、それまでよりもっと耳を澄ますようになった。欲望の秘密はその人の傷ついているところや弱いところにひっそりと息づいているからだ。


この人の作品を読むといつも酔っ払ってしまう。

かなり前に書かれた作品を含む短編集ということで、
この人らしくないものもあって興味深かったです。


高校一年生の時の山梨への一泊旅行。
部屋でゲームをするクラスメイトの輪から離れ、
一人読んでいた『きらきらひかる』。
「ケイトウの赤、やなぎの緑」がその続編だったので、
久しぶりに読み返したくなりました。

「とろとろ」がダントツで好きです。


「私は自分がわがままでも破廉恥でも平気だけれど、そういう私を信二が知ったら悲しむだろう、と思うことだけが、私をどうしようもなく苦しくさせる」


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プロフィール
HN:
ayumi
性別:
女性
職業:
国際物流業⇒食品メーカー
趣味:
読書、野球、トラ、ぷよ
自己紹介:
社会人7年目。海外駐在員を目指し、2009年4月から半年間はタイで働いてました。

2010年12月に外資系食品メーカーへ転職。まずは岡山で働くことになりました。

将来の夢は、自分の言葉と「食」を通して、世界の1人でも多くの人に前向きで幸せなエネルギーを届けること!

いつまでも魂を輝かせておけるよう、好奇心と向上心と「いま」を大切にして生きています。
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